政策①|風の谷とは
福岡に、7つの風の谷を。
今ある小学校を、風の谷へ。 災害時は、水とエネルギーが止まらない生活拠点に。ふだんは、子どもからお年寄り、生き物の交流拠点に。
風の谷で何ができるの?
子どもにとって 高齢者にとって 現役世代にとって
子どもにとって 火と水と生き物がいる校庭 木陰と果樹。実がなったら採って食べる 鶏と、生き物が立ち寄る水辺 焚き火ができる。火と道具の扱いを、遊びながら覚える 土日も朝から開いている(今の校庭開放は13〜17時)。放課後も休日も、親でも先生でもない大人がいる
高齢者にとって 公民館より充実した作業場 キッチン(家庭科室)、畑、鶏小屋、道具。使い方が分かる管理人がいる 週に1回、同じ机でみんなで食べる 集まりに来るのが苦手でも、鶏の世話や果樹の手入れなら来られる 停電しても3日回る避難所。若い世代と一緒に避難できる
現役世代にとって 子どもと一緒に居られて、家族の避難先にもなる場所 子どもを預ける場所ではなく、一緒に居られる場所 空き教室で起業できる。賃料は相場より安く、収入は学校の維持に 災害のとき、家族の避難先が最初から分かっている 電気は屋根でつくる。学校の電気代が減り、その分は市の財布に戻る
なぜ、やるのか
福岡の3つの課題に、同じ場所で答えるためです。 世代を問わず「歩いて行ける距離に、顔見知りと集まる場所と機会がない」という共通点があると考えています。
30.1人/1,000人 小学生の不登校は政令市1位 。先生も157人 が心の病で休み、一人暮らしの高齢者の6割 が孤立死を心配している
畳0.7枚 歩いて行ける公園は一人あたり畳0.7枚 。老人いこいの家を使ったことがある高齢者は6.1% 。10年後には高齢者の世帯の半分が一人暮らし
36/279棟 避難所になる体育館で冷房があるのは36棟(12.9%) (2026年5月。2025年5月はゼロ)。猛暑日は2024年に39日 。災害関連死は東日本大震災で66歳以上が89% 、能登で70歳以上が94%
高齢の方について、風の谷で答えられること・答えられないことは 歩いて行ける距離に、顔見知りを に。数字の出典は 数字の出典 に。
谷で、何が起きるか
風の谷ができると、近所の学校はこうなります。
学ぶだけの建物では、なくなります。屋根とプールで太陽を集める発電所。生き物が立ち寄る水辺。収穫できる果樹園。電気代を気にしなくていい涼しい空き教室は、住民の居場所に。鶏を飼えば、動物園に行かなくても毎日ふれあえる。発電した電気で動くロボットと、植林や伐採を試す日も来るかもしれない。
消費するだけの生活から、自分たちで作り出す生活へ。
特別な体験イベントではなく、全員の生活習慣のなかに。大規模開発ではなく、お金のかからない徒歩圏の谷だから、毎日立ち寄れる。
「環境のために」「社会のために」だけでは、人は動きません。人が動くのは、心地よくて、楽しくて、自分にとって意味があるからです。だから谷の設計で一番大事にしているのは、イオンモールに負けない心地よさ 。きれいなトイレ、安全な遊び場、おいしい食事、心地よい休憩スペースという都市的な快適さを土台にして、その上に火・水・土・生き物・人とのつながりという里山的な豊かさを載せる。自然回帰ではなく、掛け算です。両方が揃って初めて、「また来たい」場所になります。
そしてこの設計は、一石二鳥の二乗を狙っています。自然と関わることが環境に貢献し、それが同時に、楽しくて、経済的に成り立ち、子どもの教育になり、健康になり、仲間ができ、備えの技術が身につく。「環境のために我慢する」モデルではなく、「自分の楽しさを追いかけていたら、結果として社会と環境にもプラスだった」というモデル。こちらの方が、確実に長続きします。
どうやって、実現するか
電気の設計図、学校ごとの試算、よくある疑問は、ここで開けます。
電気の設計図:やること、五つ(+その0)売っている電気を自分で使う/屋根でつくる/下水のガスで夜の電気/大型蓄電池は買わずに呼ぶ/買い方を変える
新しい発明はゼロ。市自身と他都市で動いているものの組み合わせです。
その0
まず、使う量を減らす
送風機
水槽の微生物に、空気を送り続ける
水処理センターの電気は、何に使われているか
曝気 約5割
ポンプ
汚泥
曝気=送風の仕事だけで、処理場の電気の3〜6割(国交省の実測)。センサーとAIによる最適化と高効率機への更新で約2割減らせます(国の調査:運転改善6.6%+機器20.7%)。自給率150%のデンマークの処理場も、先に消費をほぼ半分に削りました。
分母(使う量)を減らせば、100%は早く・安くなる
その1
売っている電気を、自分で使う ごみ発電と下水ガスの売電を、契約の組み替えで市の建物へ 投資ほぼゼロ → 年8億円(見積もり)
その2
昼の電気は、屋根でつくる 九州は昼の電気を捨てている土地(出力制御が全国最多)。学校・水処理場・市場の屋根と敷地に太陽光 330億円(補助で170億円)→ 年42億円・回収8年(見積もり)
その3
夜の電気は、下水のガスでつくる 汚泥のガスは24時間出る。消化槽は4処理場に既設。横浜・大阪並み(今の2倍)へ。曝気(処理場電力の3〜6割)の省エネで、使う量そのものも減らす 水処理電力の2〜3割を夜も自前に(見積もり)
その4
大型蓄電池は買わずに呼ぶ。学校の分は、買う 市場で稼ぐ民間の大型電池を水処理場の敷地に誘致し、市は賃料と災害時給電の約束を得る。避難所になる学校の防災用蓄電池は命綱なので、学校向けの国の交付金(太陽光・蓄電池は令和10年度までは1/2、以降は1/3)を使って市が買って持つ 大型は市の投資ゼロ(負担ゼロ協定は高山・羽島・唐津に実例)/学校分は国補助で整備
その5
それでも買う電気は、買い方を変える 昼に安い市場価格を部分導入+高騰時の上限ヘッジ 投資ゼロの上乗せ
学校の屋根は、発電所になる
昼の電気を
その場で使う
エアコンが動く昼=
発電のピーク。相性は最高
見積もり:1校あたり30年で約1,900万円の黒字(補助1/2の場合)
学校ごとに数えてみた(146校)屋根の太陽光で電気の何%をまかなえるか。中央値147%、144校のうち131校は100%超
146校の屋根を、国土地理院の建物データで1校ずつ測りました(2026年9月23日)。
35.5MW
145校の屋根に置ける太陽光の合計(1校平均245kW)
4,080万kWh/年
屋根だけの年間発電。23円/kWhで約9.4億円分(学校の使用量の範囲では約6.5億円分。超える分は売るか、市のほかの建物へ)
136%
144校の年間消費(市の見込み)に対する割合。屋根だけで100%を超える学校が131校
119%
大規模校(25学級以上)の平均。小規模校は194%。大きい学校ほど割合は下がるが、大規模校でも平均では屋根だけで足りる
ほとんどの学校は、屋根だけで足りる 屋根の面積は児童数ほどには増えないので、大きい学校ほど割合は下がります。それでも144校のうち131校は、屋根だけで年間の使用量を上回ります。だから「その2」は、まず屋根で完結させ、足りない13校(中央区・博多区に多い)だけフェンス沿いの帯やカーポート型で補う、という順番になります。学校ごとの地図と表は →
小学校の見える化
前提:屋根の使える割合50%、8㎡/kW、発電1,150kWh/kW・年。消費は市の電力入札の施設一覧にある学校ごとの年間使用量の見込み(令和8年6月〜令和9年5月。プール・第2グラウンドなど別の契約も合算)。西高宮は一覧に載っていないため割合を出していません(144校)。小中併設校は中学校の屋根と電気を含みます。年間の合計で比べた値で、夜や休日の電気まで屋根でまかなえるという意味ではありません。
よくある疑問に、先に答えますグラウンドは埋まらない?プールは?パネルはごみにならない?夜や雨の日は?
Q. グラウンドがパネルで埋まって、野球ができなくなるのでは? なりません。自給に必要なパネルは約900㎡=敷地の約5%で、置き場は原則ぜんぶ屋根の上。足りない学校だけフェンス沿いの帯(グラウンドの約4%)やカーポート型で補い、フィールドには一切かかりません。帯とカーポートの下は、夏の日陰になります。
学校の敷地(俯瞰)
校舎の屋上(主力)
体育館の屋根
グラウンドは、そのまま
野球も、サッカーも、焚き火も
足りない分だけ、フェンス沿いの帯(グラウンドの約4%)
駐輪場はカーポート型=日陰
プール=上に屋根型パネル
Q. プールはどうするんですか?
拠点に集める。 学校数の多い政令市では民間委託の受け皿が足りず、全校の屋内化は高すぎる。各区に1つずつある市民プールを、屋根の太陽光と空調で通年化。平日昼は授業、週末は地域開放、災害時は生活用水と涼しい避難先に。年数十コマの露天プール214か所を維持するより、「埋まっている率」で数えるとこちらが安い。
現役のプールには、屋根。 日陰で暑さ指数が下がり、猛暑で中止が増えた水泳授業そのものを守れます。
役目を終えたプールは、埋めない。 水面の太陽光は市が自前で載せ、同じ敷地の校舎で使い切る(1基40kW級・年90〜120万円分。鹿児島県南さつま市で2021年から稼働例)。いけすが欲しい事業者には養殖用に貸す(チョウザメは高水温に弱く、パネルの日陰と好相性)。
基準はひとつ。 自分で使い切れる電気は自前でつくり、ノウハウの要る商売は場所を貸して呼ぶ。防災用の水は、どちらの道でも残ります。
Q. パネルは30年後、ごみの山にならない? なりません。リサイクル義務化の法律が国会で審議中(2027年末施行見込み)。隣の北九州に年9万枚を99%資源に戻す工場がすでに動いています。福岡の分の廃棄が来る2050年代には、全国の廃棄ピーク(2030年代後半)を経て処理産業が育ちきった後。廃棄の費用は、最初から収支に入れてあります。
Q. 市が電気を買わなくなると、ほかの人の電気代が上がるのでは? 市が減らすのは、九州が出力制御で捨てている昼の電気の買い物。量にして九州全体の需要の0.4%。同じ理屈なら企業の省エネも「悪者」になってしまいます。
Q. そもそも、なぜ今まで売っていたの? 昔は売るのが正解でした。固定価格買取(FIT)は高く売れ、自分の電気を離れた建物へ送る制度も実務的にありませんでした。買う電気の値段と国の制度という前提が変わったのに、契約と組織が古い前提の側に残っている。直すのは契約の組み替えです。誰かの失敗の話ではありません。
Q. 夜や悪天候の日はどうするの? 下水のガス(24時間出る)でつくり、足りない分は買います。夜の電気は安く足りているので、無理に自前でためこみません。夜のぶんまで蓄電池でためると数百億円かかって元が取れない。儲け話と命綱(避難所の防災用電池)は、分けて数えます。
数字の約束 前提も感度(回収8年、条件次第で10年)も公開し、政策③の関所に最初に通します。自分の政策だけ、検証を免除しない。
学校が、最強の風の谷になる
いまの学校
空調は入る。でも電源は外頼み
体育館空調は令和9年度末までに全校整備(方向は正しい)/停電した瞬間に止まる/電気は買う一方=束で年約11億円
→
風の谷校
自分で発電する学校
屋根とカーポートに太陽光100kW/停電しても3日、晴れれば毎日回復/30年で約1,900万円の黒字(1校あたり・見積もり)
お金の根拠:発電原価は補助で9〜11円/kWh=いま買う電気(20円台)の半額。初期費用ゼロのPPAなら市の持ち出しなし(千葉市は学校・公民館など140施設に、初期費用ゼロのPPAで導入済み)。市も2025年に3校へ軽量太陽電池を政令市初で設置済み。冷房が回る夏の昼は発電のピークで、使う時間と作る時間が重なるほど黒字は太くなります。学校は入口です。市の施設ぜんぶを「買う電気」から「作る電気」へ変える設計図はエネルギー自給率100%へ に。
学校太陽光の30年収支(1校あたり・見積もり)
屋根40kW+カーポート型60kW・国補助1/2・発電原価9〜11円/kWh(買電は23円で計算)
設置
▲1,240万
0年
5年
10年
15年
20年
25年
30年
約8年で黒字転換
15年目に
パワコン交換▲500万
+1,880万円
全228校なら30年で約43億円。電気料金・補助条件で変動(出典:本人の見積もり・一次資料ベース)
プールの使いみち(授業を守る屋根・埋めずに発電と養殖へ)は、このページの「よくある疑問に、先に答えます」 の「Q. プールはどうするんですか?」に。
谷のかたち:遊び場 × 3日間の自立
いまの公園
防災倉庫は閉まったまま
夜は暗い・電気なし
備えはあるのに、使える人がいない
風の谷
涼しい空間
電池・井戸・焚き火・ネット・果樹
遊びに来る人が、備えを毎日つかっている
訓練より、遊び。防災倉庫の道具でふだんからキャンプをして、火と道具の扱いを遊びながら覚える。保証ラインは「電気と水と食が、その場で3日回る」。3日は悪天候が続いたときの底で、電気は晴れれば毎日つくり直せます。場所は、1期目は7区の小学校から選ぶ。油山・飯盛山・三日月山の麓と各区の公園は、2期目以降に学校と組み合わせて広げる。ハコモノは建てず、整備率を公表しながら全区へ。
実現性とお金:市は抱え込まない
実現性は実例で。千葉県睦沢町では地域電力の開始9日後に台風の大停電が起き、道の駅だけ電気と温水が生きて約800人が無料シャワーに集まりました。平常時に人が集まる場所だけが、非常時に人を守れます。「平常時は遊び場・災害時は3日間自立する拠点を全区に置いた政令市」は、まだ世界にありません。福岡が最初にやれます。
お金は市が抱え込みません。大型蓄電池は民間所有+非常時給電契約(自治体負担ゼロの協定は国内に実例あり)。学校の防災用の蓄電池だけは別です。避難所の命綱なので、学校向けの国の交付金(太陽光・蓄電池は令和10年度までは1/2、以降は1/3)を使って市が持ちます。拠点には電気代のかからない店舗区画を用意し、テナント料で維持します(公園カフェ型は東京で実証済み)。学校向けの国の交付金(太陽光・蓄電池は令和10年度までは1/2、以降は1/3)などを使い、市の実負担は7校で4年に約3〜6億円(見積もり)=年あたり約0.8〜1.5億円。市が自由に使えるお金(年約1,156億円)の約0.1%です。この収支計画そのものを、③の関所に最初に通します。
市が自由に使えるお金(年間)と、風の谷の実負担
自由に使えるお金 年1,156億円
風の谷7校 4年で約4〜6億円 = 年約0.1%
大型蓄電池は買わない・学校の防災用は国補助で持つ
工程表とお金(1期目の4年)
7区に1校ずつ、市立小学校を風の谷にします。金額はすべて見積もりです。前提は数字の出典 とあわせて公開し、直したら更新の記録に残します。
2026年12月〜2027年3月(最初の100日) 1号地を決め、住民との対話を始める 選ぶ基準と候補校を先に公開。屋根でつくれる電気・空き教室・浸水の危険・地域の担い手で選ぶ
2027年度 1号地を夏休みに工事、秋に開所 太陽光は市が持ち、発電量を毎月公開。冬に「72時間 停電試験」(外からの電気を止めて3日間回す)
2028年度 残り6校を整え、年度末に7校 6月、1号地の実測とPPA(民間が設置し、市は電気を買う)の見積もりを30年の収支で比べ、残り6校の方式を決める。比べた表は公開
2029年度 7校の実測を公開し、広げるかを決める 残り139校に広げる計画を、政策③の関所に通す。停電試験で3日もたない・利用が目標の半分未満・費用が見積もりの1.5倍超なら、広げずに見直す
2030年度 次の4年の計画として示す
4年間のお金(市の実負担)
約4〜6億円 =年あたり約1.0〜1.5億円。自由に使えるお金(年1,156億円)の約0.1%
太陽光7校とも市が持つ
約0.9億円(1校1,240万円。30年で1校約1,900万円の黒字・見積もり)
運営管理人・市民食堂・保守
約1.0億円(4年の累計。管理人を公民館の職員が兼ねれば、さらに少なくなる)
濃い部分=少なく見た場合、薄い部分=多く見た場合の上乗せ。太陽光は7校とも市が持つ前提で計算(PPAを選べば、その分少なくなる)。太陽光・蓄電池は学校向けの国の交付金(太陽光・蓄電池は令和10年度までは1/2、以降は1/3)を使い、蓄電池は補助後の額で計算。それ以外は補助なしで計算(井戸・貯水や厨房など、防災の起債が使えれば市の負担はさらに下がる)。文科省の1/2は令和10年度(2028年度)までなので、7校をその年度中に整える。
1校で整えるもの(初期 約4,200〜7,200万円/校。太陽光1,240万円を含む)
太陽光 100kW 屋根が中心。足りない分はカーポート型・フェンス沿い。校庭にはかけない
防災用の蓄電池 約300kWh。雨が3日続いても、照明・通信・冷蔵・給水ポンプと1部屋の冷暖房が回る。晴れの日は昼に貯めて、夜は体育館の冷房も一晩回す
水 井戸の適地なら井戸、ほかは貯水と非常用の蛇口
空き教室を地域の部屋に 専用の入口・ID入館で授業と分ける
週1回の市民食堂 家庭科室を使う。1校区 年150万円
校庭の木陰・果樹・水辺 夏も遊べる校庭に
防災の道具をふだん使いに キャンプで火と道具に慣れる
谷の管理人 公民館の職員が兼ねる。先生の仕事は増やさない
候補地と、進め方
① 1期目は、7区の小学校から。 区にひとつずつ、市立小学校を風の谷にします。屋根でつくれる電気、空き教室、浸水の危険、地域の担い手で選び、選んだ理由を公開します。公園や油山・飯盛山・三日月山の麓は、2期目以降に学校と組み合わせて広げます。ハコモノは建てず、いまある場所の使い方を変えます。
② 最初の100日で、1号地。 当選後100日以内に1号地を選び、住民との対話を始めます。「
なぜ、やるのか 」に書いた3つの約束のひとつです。
③ 収支は、先に関所へ。 7校の収支計画を政策③「つくる前に、数える」の関所に最初に通し、公開してから着工。2028年度末までに7校を整えます。太陽光は、1号地を市が持って発電量を実測し、PPA(民間が設置し、市は電気を買う)の見積もりと並べて比べてから、残り6校の方式を決めます。実測は毎月公表します。
④ 里山と、往復する圏域へ。 7つの谷は、市内側の受け皿です。中心部が利便性を、久山・糟屋・糸島の里山が身体性を担い、人がその間を往復する。農園的都市生活は、福岡都市圏全体でシェアする生活様式だと考えています。
よくある質問(いくらかかる?遊びに税金?)はトップページのFAQ へ。電気の設計図はエネルギー自給率100%へ 、数字の根拠は数字の出典 へ。この思想の元になった連載「農園的都市生活」はmie-fuk.jp/blog に。
注記と出典
エルム・旧津貫小学校プール水上太陽光(2021年稼働・全国初):エルム発表 ・日経
水上太陽光の実勢(兵庫・穴沢池960kW 約2.62億円=約27万円/kW):日経BP
データ:福岡市「令和8年 電力供給契約」入札対象施設一覧(財政局) のExcel3ファイル(WTO対象20施設・単独126施設・一括調達1,661施設)を集計。2026年10月9日、一括調達の一覧にあるグループの合計行(施設の行の小計)を施設の行と二重に足していたため、合計行を除いて集計し直しました(2.76億→2.21億kWh、学校8,510万→4,628万kWh)。契約期間は約1年(令和8年6月〜令和9年5月)=年間値として扱っています。
電気代は使用量×23円/kWhの推定(九州エリアの高圧の平均単価18.8円(電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報」の販売額÷販売電力量、2025年7月〜2026年6月分)+再エネ賦課金4.0円=22.8円を丸めた値。税抜)。実際の支払額は契約単価により異なります。
電気代の合計(約80億円)は、市の公表値の使用量 年3.54億kWhに23円/kWhを掛けた試算です(単価21〜24円なら74〜85億円)。入札一覧には地下鉄や指定管理の施設などが入っていないため、合計には公表値を使っています。地下鉄の電気代は、動力費のほかに駅などの光熱水費があります(交通局・令和6年度決算説明資料 )。
清掃工場の発電量:福岡市「中間処理(清掃工場)施設の発電量」(R5〜R7年度) (R6:発電2.30億kWh・売電1.37億kWh)。
設置率62%・2040年100%目標:福岡市脱炭素戦略2040(原案) 。
下水ガス発電(中部1,999kW・年1,163万kWh=FIT売電、和白200kW・発電機を2024年12月に倍増):福岡市下水道事業年報(令和7年版)・下水汚泥等の有効利用 。横浜・大阪の消化ガス発電規模は各市公表資料。
太陽光の投資・回収の前提:経産省コスト検証WG実績(18万円/kW・1,150kWh/kW等)。買う電気の単価は、市全体・学校1校の30年収支(グラフ・見積もり)とも23円/kWhにそろえています(九州エリアの高圧の平均単価18.8円(電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報」の販売額÷販売電力量、2025年7月〜2026年6月分)+再エネ賦課金4.0円=22.8円を丸めた値。税抜。月ごとの幅は21〜24円)。発電原価は補助1/2〜2/3で9〜11円/kWh(補助なしなら約14円)として計算しています。
体育館の冷房 36/279棟(12.9%、令和8年5月時点):文部科学省の調査(小中学校の体育館等)。2025年5月は0/277棟。猛暑日39日:気象庁 福岡観測所(2024年)。
間違いを見つけたら教えてください。直して、政策サイトの「更新の記録」に残します。
学校別の屋根面積:国土地理院 地理院地図Vector(基盤地図情報 建築物)/学校敷地はOpenStreetMap(ODbL)/児童数は福岡市教育委員会 令和8年度速報値 → 小学校の見える化
この構想の背景(読みたい人だけ)
まちづくりとは(調達と自給)
まちづくりとは(調達と自給)
調達カネで外から買う力 自給土地が自分でつくる力 このふたつの釣り合いを、自分たちで動かせること=まちの自立
まちづくりとは、共同体の運営です。自立したまちとは、「調達」(お金で外から買う力)と「自給」(自分の土地と力で作る力)の釣り合いを、自分たちで動かせること。自給率100%を目指す話ではありません。10〜30%動かすだけで、まちの構造は変わります。
つづきを読む(財政の図解と、里山からの視点) 福岡市は「調達」の天才として育った街。それでも自力で稼ぐのは歳入の37%です。ごみは60年で9つの浜と谷を埋め、水の自給は3割以下、川は雨水を海へ流す設計になりました。市の職員さんいわく、未来都市の絵に、昔の小学生はUFOを描き、今の小学生は森を描くそうです。まちは、ヒトとカネだけでできていない。そういう話をする候補者が、1人くらいいてもいいのでは。くわしくは、連載に書きました。
図版:連載「福岡のお金——令和6年度決算とお金の流れ」(mie-fuk.jp)より ※出典:令和6年度決算カード(普通会計)
連載「福岡市のお金」の全図解を読む(NPO法人mieサイト内・筆者連載)
都市に住み続けながら、里山との接続点を持つ/名前について/なぜ必要か/4つの問い
都市に住み続けながら、里山との接続点を持つ
福岡市は、都市への集中で栄えてきた街です。人口密度が高いほど一人あたりのインフラは安く、社会保障の負担が重くなるこれからの時代、都市に住むのは合理的な選択です。これは否定しません。
ただ、都市生活には穴があります。人間関係の希薄化、子どもの不登校と自殺、孤立、メンタルヘルスの悪化。どれも都市の便利さと表裏一体で起きている。人間の幸福も学習も生存のスキルも「身体で世界と関わる経験」の上に乗っているのに、高度に管理された都市では、その経験が構造的に欠けます。
だからといって、移住は答えになりません。仕事、家族、学校、住宅ローン。払える人は少数です。「都市の便利さを取るか、田舎の豊かさを取るか」という二項対立そのものが、現実に合っていない。
答えは第三の生活様式です。都市に住み続けながら、里山との接続点を生活習慣の中に埋め込む。 私はこれを「農園的都市生活」と呼んで、久山町の里山で6年、実践してきました。週末に通い、土を触り、火を起こし、生き物の世話をして、また都市に戻る。それだけで、都市側の穴と里山側の穴(人手不足・荒れる森)が、同じ仕組みで同時に埋まり始めることを見てきました。
風の谷は、この生活様式を福岡市の中に持ち込む装置です。 7つの区にひとつずつ。車で1時間の里山ではなく、歩いて行ける小学校に、火と水と土と生き物がある「疎」をつくる。平常時は遊び場、災害時は3日間その場で回る拠点。新しく建てず、いまある場所の使い方を変えてつくります。
名前について
「風の谷」は、ナウシカ以来みんなが知っている共有の言葉です。同じ名前で、安宅和人さんたちが2017年から「風の谷を創る」構想を進めています(『「風の谷」という希望』英治出版、2025年)。都市にしか人が住めなくなる未来への違和感から、自然豊かな疎な空間に人が住み続けられる「もうひとつの未来」を、森・流域・田園・インフラ・エネルギー・ヘルスケア・食と農の領域で設計する試みです。
私はファンです。ただ、里山の活動はあの構想を知らないまま、ほぼ同じ時期に始めていました。2年ほど前に著作に出会い、同じ方向を向いている人たちがいると知って、勇気をもらいました。あちらは人口の少ない土地で、私は過密都市の中でやる。 志は同じ方向なので、むしろ連携したいと思っています。
なぜ必要か:自分で設計できない街
自立とは、自給100%のことではありません。自給と調達のバランスを、自分たちで設計できる状態 のことです。いまの福岡市は、水は市外のダムと筑後川に、電気は送電網に、食は物流に頼り、そのバランスを自分では決められない。集中型が悪いのではなく、集中型「しか」ないことが弱点です。
いまの備えは集中型だからです。水は市外のダムと筑後川頼み(今年2月に24年ぶりの取水制限)、電気は送電網頼みで、避難所の電源はガソリン発電機。避難所が単体で3日間回る設計になっておらず、停電時に施設を小さくつなぐ国のマイクログリッド実証48計画にも、福岡市はまだ入っていません。
いま:集中型
大きなシステム1つ
ダム・送電網・物流
ここが切れると、全部止まる
これから:分散型(7つの風の谷) それぞれ自立。1つ止まっても、残りは動く
設計の4つの問い
安宅さんの構想は、疎な空間が解くべき課題を「エコノミクス・レジリエンス・求心力・文化と価値創造」の4つに整理しています。同じ4つの問いに、都市版で答えます。
問い1|エコノミクス
誰が払い、どう回るのか。 市は抱え込みません。7校の市の実負担は4年で約4〜6億円(太陽光も市が持つ前提・見積もり)=自由に使えるお金の年約0.1%。学校の太陽光は、1号地を市が持って実測し、初期費用ゼロのPPAの見積もりと比べてから残りの方式を決める(市が持てば1校30年で約1,900万円の黒字・見積もり)。拠点の店舗区画はテナント料で維持、大型蓄電池は買わずに民間所有+非常時給電契約。この収支計画を、政策③の関所に最初に通して公開します。
問い2|レジリエンス
止まったとき、何日もつのか。 3日間、その場で回る。太陽光と蓄電池で電気を、井戸と貯水で水を、回転備蓄で食べ物を。いまの避難所は電源も水も外から運び込む前提で、単体で3日回る設計になっていません。谷は、平常時に人が集まる場所だけが非常時に人を守れる、という実例(千葉県睦沢町)に倣います。
問い3|求心力
なぜ人が来るのか。来続けるのか。 訓練より、遊び。焚き火・キャンプ・ツリーネット・プレーパーク。防災倉庫の道具でふだんからキャンプをして、火と道具の扱いを遊びながら覚える。30代の訓練参加率は26.3%で全年代最低ですが、遊び場に人は来ます。イオンモールに負けない心地よさで、来続けてもらう。
問い4|文化と価値創造
そこから、何が生まれるのか。 木に登り、火を焚き、鶏を飼い、果樹を収穫し、生き物を観る原体験。消費するだけの生活から、自分たちで作り出す生活へ。発電した電気で動くロボットと、植林や伐採を試す日も来る。谷は、次の生活様式を街の中で実験する場所です。