「元気」とは
高島市政は、都市としての成長を目指し、国際会議の招致、特区化、中心部の再開発を行ってきました。
人口と固定資産税の増加により、市の税収は過去最高、2025年度は4,173億円。借金(普通会計の市債残高)は1兆2,759億円から1兆764億円へ(2010→2024年度)、16%減りました。
そして、給食費の無償化、こども医療費助成、七隈線の延伸による交通渋滞緩和など、暮らしやすさに再配分してきました。
福岡市の産業構造製造業3.3%。問屋と商店、物流で稼ぐハブ都市
4,173億円市の税収(みんなが払う税金)。2025年度に過去最高。借金(市債残高)は、この16年で16%減った
2,441万人1年に福岡市に来る観光客(2024年)。福岡市の人口の15倍。人口も、日本のほとんどの街が減るなかで増え続けている
3.3%福岡市の経済(市内総生産8.2兆円)のうち、製造業が占める割合。全国は19.4%で、福岡は6分の1。いちばん大きいのは卸売・小売業の20.2%(全国14.4%)
- 福岡市には、製造業は少なく、問屋と商店、物流業で稼いでいることが経済の特徴です。
- 九州と本土、アジアと日本のハブ都市として、人、物、情報が集まり、売る、貸す、運ぶで稼いでいます。
- この16年はスタートアップ、観光、国際会議、ビルの建て替えに取り組み、人口と固定資産税の収入を増やすことで、市政は元気になりました。
「元気なうちに」とは
福岡市は経済成長しても、
一人ひとりは豊かになれなかった。
人口増に伴う住居とオフィスの体積増加。
それにより、成長したのは税収と地価。
高島市政が築いた成長の果実があるうちに
豊かな生活に向かう「別の成長物語」が必要
人も、物も、中心に集めることで、儲けて、その利益を市民全体に再分配する。「経済成長して、再分配」という神話は、もう起きません。というか、もう終わっています。
数字を3つ紹介します。
数字1 所得は、1991年で止まった市民1人あたり326万円→327万円。30年横ばい、物価を引くと7.5%減
市民1人あたりの所得は、1991年の326万円が、2022年に327万円。30年間、増えていません。物価を引くと7.5%減です。
数字2 会社員世帯の手取りは+2%、物価は+10%この3年(2022→2025年)。11年では給料+3.6%、物価+8%、厚生年金の本人負担8.2→9.15%。4割が非正規
会社員世帯の手取りは、この3年(2022→2025年)で2%増えましたが、物価は10%上がりました。11年(2011→2022年)で見ると、給料は3.6%増えて、物価は8%上がり、保険料も上がった。家計の可処分所得も、物価を引くと減っています。
+3.6%給料(2011→2022)
+8%物価(同じ11年)
8.2→9.15%厚生年金の本人負担
- 働く人の4割が、非正規。福岡市の役員を除く雇用者のうち、非正規は39.6%(全国36.9%)。15〜34歳でも38.4%。
- 非正規が多いのは、産業構造の写しです。業種別の非正規率は、宿泊・飲食70%、サービス業56%、卸売・小売48%、医療・福祉38%、製造業29%、建設13%。小売・飲食・サービスの3業種で非正規の45%。女性は54%、男性は24%。売る・運ぶ・もてなす街は、パートとアルバイトで回っています。
- 家計の可処分所得は、実質で減っている。福岡市の家計の可処分所得(税と社会保険料を引いた手取りの合計)は、市民1人当たり2011年度243万円、2022年度257万円。名目で6%増えましたが、物価8%を引くと2%減です。市全体(家計+企業+市)の可処分所得なら、1人当たり314.5万円→314.4万円で横ばい。
数字3 人口増の中身は、九州、山口から来る若者と、外国人自然減は2021年から。来る若者は半分に、社会増の4割は外国人
人口は増えていますが、中身は九州7県と山口からの若者と、外国人です。福岡で生まれる子どもは2015年から減り、2021年から死亡が出生を上回っています。子どもの人口は2020年がピーク。働く人は2030年がピークです。
福岡県の人口は、60年ぶりに減り始めました。2026年9月1日の推計では、29市のうち24市で減っています。福岡市も、この8月は1か月で446人減りました。生まれる人より死ぬ人が多く、出ていく人が入ってくる人を上回った月です。年間ではまだ増えていますが、減る月が出始めています。
福岡の人口が増えているのは、九州の若者が集まっているからです。2025年、九州・沖縄(福岡県内を含む)からの転入超過は10,359人。日本人の社会増10,108人の、全部です。東京圏へは2,171人の転出超過(日本人)。福岡で生まれる人は減り、2021年から死亡が出生を上回っています。いまの人口増は、100%社会増で、その4割は外国人です。
外国人の住民は、2011年の2.5万人から2026年8月末の6.1万人(61,365人)へ。人口の3.77%ですが、ここ2年の社会増の4割を占めます。国籍は(2025年9月)ネパール14,152人(2年で1.7倍)、中国14,135人、ベトナム7,877人、韓国6,782人、ミャンマー2,112人の順。留学生と特定技能で、飲食・小売・介護の人手を埋めています。
九州の若者が福岡に集まる構造は、1990年代から変わっていません。変わったのは、福岡に来る若者の数です。九州7県(福岡県を除く)と山口県の15〜24歳は、1970年の175万人から2024年の92万人へ。福岡の人口増は、市の手柄というより、九州の若者を預かっている状態です。預かった若者の給料が増えていないことのほうが、問題です。
経済とは、お金。「お金は増えているじゃないか」と言う人がいます。
みなさん、増えましたか。
増えたのは、3つ土地の値段2倍、大人が増えた分の市民税、ビルが増えた分の固定資産税。実質賃金はマイナス
増えたのは、3つです。土地の値段が10年で2倍。大人が増えた分の市民税。ビルの体積が増えた分の固定資産税。
地価住宅地の平均価格は、10年で2倍
市民税払う人が増えた分。1人あたりは横ばい
固定資産税ビルが増えた分
一方で、実質賃金はマイナス成長。平均的な働く人は、貧しくなりました。
- しかし、増えたのは土地の値段です。福岡市の住宅地の平均価格は、2015年の12.1万円/㎡から2025年の24.0万円/㎡へ、10年で2倍。全国の会社の利益も、10年で1.8倍になりました(2015年度68兆円→2025年度125兆円)。それでも、福岡市の法人市民税(法人税割)は324億円から323億円で、横ばいです(税率は14.7%から8.4%に下がりました)。法人税割の約6割は、東京など市外に本社がある会社の、福岡の支社が納めています。一方、福岡市民1人あたりの給料(雇用者報酬)は、2000年度の505万円、2022年度の504万円で、22年間ほぼ横ばいです。同じ22年で、福岡市の物価は2.3%上がり(消費者物価指数 2000年99.2→2022年101.5)、2023年からはさらに10%上がっています(2025年112.0)。ドルで見ると、2000年度の4万6,868ドルから2022年度は3万8,309ドルへ、約2割減りました。
- グローバル企業の本社は、来ていません。支社や拠点は2012年度からずっと毎年50〜65社。雇用は2021年度の2,600人から、2024年度455人、2025年度438人と減少。本社機能等の立地は、年0〜14社(2015〜2025年度)で、2024年度は1社、2025年度は3社です。グローバルプラットフォーマーは、基本、ソフトウェア企業です。ソフトウェア企業に、豪華なオフィスビルは、あまり必要ありません。Googleの福岡拠点は、看板のない数フロアです。支社が来ても市に入る法人税はほとんど増えず、増えたのは働く人の住民税とビルの固定資産税です。
- ビルを建てても、人は増えません。天神ビッグバンで、11年に85棟が建て替わりました。当初の目標は30棟です。主要11事業だけで、床は54万㎡増えます。ワンビル3.7棟分です。床は想定の1.7倍増えたのに、雇用効果は前の推計から4%しか増えていません。日本経済新聞は「企業のデジタル活用などで生産性が向上し、雇用規模は当初想定に近い水準で収まったとみられる」と分析しています。
- 天神の新しいオフィスビルは、まだ埋まりきっていません。天神地区の空室率は8.9%(2026年8月)で、博多駅前の3倍。新しいビルが全て埋まれば幸いですが、人口減のため、内需は細ります。
- 海外から見れば、福岡は半額です。1ドルは2000年の108円から2025年の150円へ(年平均)。物価の差も含めた円の実力(実質実効為替レート)は、25年で半分以下になりました。福岡市民の給料をドルで見ると、2000年度から2022年度で約18%減です。外資や観光客が来るのは、その裏返しです。
法人市民税は、1990年がピークのまま35年間、一度も戻っていない。本社が福岡じゃないから、法人税は入らない
法人市民税は、1990年がピークのまま、35年間戻っていません。
5211990
3992000
3312010
4162019
4132025
法人市民税(当初予算、億円)。出典:福岡市 税務統計・当初予算
ワンビルは、開業から1年半。オフィスは契約ベースで9割埋まっているそうです。天神には、東京や海外に本社がある会社の福岡支店がたくさんあります。でも、法人税は国に入り、福岡市に入るのは、福岡で働く人の人数で割った法人市民税です。福岡でたくさん儲かっても、支社が増えても、働く人が増えない限り、市の財布はほとんど変わりません。
法人税
(国税)→国
法人市民税→福岡で働く人の
人数で按分→福岡市
天神ビッグバン。床は増えた。働く人は、増えていない11年で85棟、床+54万㎡、雇用効果の推計は+4%。1人あたりの床が広くなっただけ
天神ビッグバンで、11年に85棟が建て替わりました。床は54万㎡も増えましたが、働く人は増えてません。1人あたりの床が広くなって、快適になった。それだけです。もちろん、耐震性は上がりました。新しいビルの固定資産税も、数年は大きく増えます。その後はわかりません。
85棟11年で建て替え(目標は30棟)
+54万㎡床の純増(ワンビル3.7棟分)
+4%雇用効果の推計(前回比)
横ばい福岡で働く人(2020年→)
2000年から2025年まで、5年おきに見ると。地価と全国の会社の利益は伸びた。給料と市民1人の所得は、物価に負けた。
都市の副作用と、自治会の限界不登校は政令市1位、先生の休職・長い病気休暇1.7倍、公園は畳0.7枚。自治会長の58%が70歳以上
市民1人あたりは貧しくなり、都市の副作用として、子どもの不登校、大人の休職は増えました。小学生の不登校は、政令市で1位。先生の心の病による休職・長い病気休暇は、7年で1.7倍。歩いて行ける公園は、1人あたり畳0.7枚。ボール遊び禁止の看板が立ち、市は禁止した公園の数を把握していません。
政令市1位小学生の不登校
1.7倍先生の心の病による休職・長い病気休暇(7年で)
畳0.7枚歩いて行ける公園、1人あたり。ボール遊び禁止の看板
自治会は、会長の6割近くが70歳以上、加入率は5年で5ポイント下がりました。ギリギリの高齢化の中で頑張っています。
58%会長が70歳以上(平均69.2歳)
−4.6pt加入率、5年で(85.7%→81.1%)
79%「役員のなり手がない」
出典:文部科学省 問題行動・不登校調査(2024年度)、文部科学省 公立学校教職員の人事行政状況調査(精神疾患による病気休職と1か月以上の病気休暇の合計 2024年度157人・2017年度92人。病気休職だけなら2024年度86人)、福岡市 公園の見える化、福岡市 令和4年度自治協議会・自治会等アンケート
そして、その元気は、ずっとは続きません。
元気は、ずっとは続かない子ども(0〜14歳)は2020年、働く世代は2030年、人口は2040年がピーク。増えるのは高齢者だけ
市の予測では、こうなります。
| だれが | ピーク | そのあと |
| 子どもの数(0〜14歳) | 2020年(すでに過ぎた) | 減っている |
| 働く世代(15〜64歳) | 2030年ごろ・約108万人 | 頭打ちのあと、減る |
| 福岡市の人口 | 2040年ごろ・約170万人 | 減り始める |
| 高齢者 | ピークはまだ先 | 増え続ける |
| 一人暮らしの高齢者 | 2040年に約2倍 | 9.9万世帯→18.2万世帯 |
働く世代は、いま104.1万人(2020年。市の将来人口推計の基準値)。2030年ごろ約108万人でピークを打ち、2040年に103.1万人。高齢者は、いま35.6万人。2030年に約40万人、2040年に47.2万人。2030年から2040年で、働く人は4.6万人減り、高齢者は6.8万人増えます。
支える人が、3人から2人に高齢者1人を支える働く人 6.6人→2.9人→2.2人。負担は約3割増し
問題は、人数より比率です。1995年は、働く人6.6人で高齢者1人を支えていました。2020年は2.9人。2040年には2.2人になります。2.9人で1人を支えるのと、2.2人で1人を支えるのでは、1人あたりの負担は約3割増しです。税金も、介護の人手も、同じ割合で足りなくなります。
介護は、あと25年、上り坂求人倍率3.09倍、2040年度に約4.0万人が必要、毎年約1,000人増やし、4,700人を迎える
介護の人手は、もう既に足りていません。
介護の現場では、働き手1人を、3つの職場が取り合っています(福岡県の介護の仕事の有効求人倍率3.09倍、2025年)。
福岡市の要介護認定者は、2040年に1.5倍になります。7.3万人から11.1万人です。
市の見込みでは、必要な介護職員は2026年度の約2.6万人から、2040年度には約4.0万人。毎年約1,000人ずつ増やさないといけません。いまも1年で14.5%の職員が辞めているので、実際には毎年4,700人ほどを新しく迎える必要があります。
それなのに市は、介護の働き手が今何人いるのかを数えていません(2023年11月の市議会で、市が「一時点における人数の統計はない」と答弁)。全国の介護職員は、2023年に、制度が始まって初めて減りました。
毎年の人数は、市の公表値からの計算:(2040年度 約39,700人 − 2026年度 約25,500人)÷14年=約1,000人。辞める人の穴埋めは 25,500人×離職率14.5%=約3,700人。2040年度の約39,700人は県の第8期推計を市が按分した値で、県の第9期推計では必要数が下がっているため、やや多めに出ている可能性がある。
市民1人あたりでは、もう成長していない。
だから、元気なうちに、備える。
今あるものを賢く使う。都市としては大きくならないけれど、多くの人がより豊かな人生を送れる街をつくる。
増えた税収も、今、半分近くは医療や福祉などの決まった支出に消えています。2025年度は税収が329億円増えて、そのうち163億円が福祉の支出増に回りました。
集積による経済成長と給付の再分配という都市システム、支社オフィス経済では、市の財政や一部の資本家は潤っても、一般の個人は豊かになれませんでした。
その副作用が、いま起きている8つの課題です。
まだ余力があるうちに、直面する課題を整理し、新しい成長の希望を見出す必要があります。
そのために、隣近所で、無理のない範囲でつながる。みんなで持っている公共の場所を、もっと賢く、もっと楽しく、家族以外とも交わる場所につくり直す。
その一案が、私の政策、風の谷構想です。
「備える」とは
「備える」とは、集積に頼らない成長の種を、いまの余力で仕込むことです。新しいものを買う話ではなく、いまある学校、いまいる人、いまあるお金の使い方を変える話です。3つ、提案します。
3つ合わせて、4年で約20〜40億円(見積もり)。年に5〜10億円で、市の予算(一般会計 年1兆1,088億円、2024年度決算)の0.1%以下。自由に使えるお金(年1,156億円)で見ても1%以下。市民一人あたりにすると年300〜600円(4年で1,200〜2,400円。見積もりを人口167万人で割った値)。ハコモノは、ひとつも建てません。
年300〜600円で、何が変わるか3つの政策の効果
政策①歩いて行ける距離に、顔見知りと集まる場所ができる停電しても3日回る学校が、7区に1つずつ
政策②区役所に行かなくていい。人手は、人にしかできない仕事へ窓口は減らさず、職員は解雇しない
政策③10億円以上の事業は、着工前に数字が見える約束と結果の答え合わせを、毎年議会へ
3つとも新しいハコモノは、ひとつも建てないいまある学校・人・お金の使い方を変える。自由に使えるお金の1%以下
子どもにとって、高齢者にとって、働く人にとって何が変わるかは、各政策のページの「何ができる/何が変わるか」に載せています。
いまの福岡の課題は8つの課題に、いまの福岡市の姿は見える化に、数字と出典つきでまとめています。