政策②
ポケットに、市役所を。
市が配信している10個のアプリを一つのスーパーアプリに。市役所の定型事務を1/10にして、浮いた人手と時間を、人にしかできない仕事へ。学生も条例づくりに参加できる仕組みをつくる。AIを活用して給料を上げた市内の会社を、後から応援する(唯一の経済成長への道)。
何ができるようになるの?
子どもにとって先生が、子どもと向き合う時間が戻る- 先生の事務(記録・転記・集計)を機械が先にやり、先生は確認するだけに
- 小中高生も、市民限定のSNSから条例づくりに参加できる
- 浮いた人手は、学校の事務と支援へ
高齢者にとって窓口で、書かなくていい- 書かない窓口を7区すべてに。職員が聞き取り、申請書は機械が埋める
- 電話は夜も一次応対がつながる。答えられないものは人へ
- 窓口・電話・封書は減らさない。介護の現場に人が集まる仕組みをつくる
現役世代にとって仕事を休んで区役所に行かなくていい- 申請・相談・「私の申請はいまどこ?」を一つのアプリで
- 待ち時間と手続きの時間を測って毎年公表する。導入した数ではなく、時間で報告
- 職員は解雇しない。定年などの自然減と配置転換で
ポケットに、市役所を一つ。
市が配信している、10個のアプリを、できるだけ統合して、一つのスーパーアプリに。
あらゆる申請が、スマホで終わる証明書から給付の申請まで。窓口に行く場合は、先に入力しておけば「書かない窓口」で聞き取りだけ
私の申請は、いまどこ?受付・審査・振込の進み具合が見える。「もう一度来てください」をなくす
あなたは、この制度が使えます条件に合う支援を、市役所のほうからプッシュ型通知で知らせる。
給付は「受け取る」ボタンお知らせが届き、辞退しなければ振り込まれる。封書は、口座を登録していない人のために残す
相談と電話は、24時間よくある問い合わせはAIが多言語で一次応対。答えられないものは人へ。
窓口の予約と、順番待ち予約して、順番が近づいたら通知。待ち時間は記録して毎年公表する
近くの防災倉庫と、避難先自分の校区の防災倉庫と風の谷の場所。QRで倉庫が開く。ふだんはキャンプの道具として使う(政策①)
市民限定のSNS本人確認は裏で、表示は匿名。条例づくりに参加できる。学生も
市の事業を市民が予測大きな事業に人は来るか、市民が予測して議会に届ける(政策③)
職員と市民が一緒に作り、運営する。完全な外部委託にしない。作ったものは、他の自治体に無償で公開する。
なぜ、やるのか
約7,000人 不足福岡県は2年で約7,000人増やす必要がある。県内の介護職の求人倍率は3.09倍(福岡県、2025年)と圧倒的な人手不足。一方で、子のいない、頼る家族がいない高齢者も増え始める。
157人心の病で休んでいる福岡市の先生。市役所の病気休職も約9割が心の病。定型事務が、人の時間と心の余裕を奪っている
1,020万件/年市の手続きの件数は膨大。しかし、オンライン手続きサービスの半分は使われていない。
子どもも参加できる政治を
市役所アプリの中に、福岡市民だけが入れる匿名のSNSをつくります。本人確認は裏でして、表示は匿名。市民アンケートに加えて、ここでのやり取りを条例の素案づくりに使います。
- 小中高生も参加できる。マイナンバーカードの本人確認は15歳未満には原則出ないので、小中学生は学校の端末のアカウントなど、学校経由の入口をつくる。根拠はこども基本法11条(こども施策に子どもの意見を反映させる措置を、国と自治体に義務づけ)
- 決めるのは、人と議会。SNSは声を集めて整理するところまで。素案は市長が議会に出すか、議員に託す
- 2028年度に1つのテーマで試し、2029年度に条例の素案を1本、議会に出せるか判断する。最初のテーマは、子どもが関係するもの(公園のルール、校庭の開放時間など)を候補にする
- 政策③の「市民の予測」も、この場で行う。大きな事業に人が来るかどうかを、子どもも予測できる
- なりすまし・荒らしが見回りで抑えきれない、参加者が特定の層にかたよる、のどちらかが起きたら、広げずに止めて直す
どうやって、実現するか
順番は三つ。測る → 機械に写す → 人を動かす。発明はしない。日本の自治体で実測された部品を、福岡の1,020万件の手続きに組み上げる。
やること(4年間)
1
職員用アプリ(記録の下書き)窓口・相談の記録、転記・照合を機械が先にやり、職員は確認して確定する。最初の100日で1〜2区。入力データはAIに学習させない
2
線引きの表を公開全手続きを「A 完全自動/B 機械が処理して人が確定/C 人が主役でAIが支える/D 人にしかできない」に分けて公開。裁量のある処分は人が最終確定
3
書かない窓口を7区に職員が聞き取り、申請書は機械が埋める。窓口は減らさず、浮いた人手で対面を手厚く
4
一つの市役所アプリ申請・相談・「私の申請はいまどこ?」・給付の「受け取る」ボタンを一か所に。職員と市民が一緒に作り、運営する
5
電話の一次応対よくある問い合わせと夜間をAIが受け、答えられないものは人へ。正答率の基準を先に決め、届かなければ出さない
6
市民限定の匿名SNS2028年度に1つのテーマで試す(上の節)。学生も参加できる入口をつくる。決めるのは人と議会
7
人の移し方解雇しない。定年などの自然減と配置転換で、定型事務から学校の事務・支援、区の福祉相談へ。移した人数を毎年公表
8
基幹システムの入れ替えをAI前提にいま進んでいる入れ替え(2030〜32年完了)の設計に、自動化と線引きの表を組み込む。ここを逃すと、また10年同じ形が続く
工程
- 2026年12月〜2027年3月(最初の100日):市役所アプリのプロトタイプを開発する。窓口と電話の待ち時間、手続きの時間の記録を始める。線引きの表の第1版(件数の多い手続きから)を公開。生成AIの利用ルール(学習させない・最終責任は人)を決める
- 2027年度:職員用アプリを7区へ。書かない窓口を2区で試す。市民アプリの内製チームをつくる。年度末に基準値(手続きの時間・待ち時間・一回で終わった率)を公表
- 2028年度:市民アプリ第1版。書かない窓口を7区すべてへ。電話の一次応対を分野を限って試す。匿名SNSを1テーマで試す
- 2029年度:対象にした手続きで処理時間が1/5に届いたかを実測で確かめる。SNSのやり取りをもとにした条例の素案を1本、議会に出せるか判断する
- 2030〜32年:基幹システムの入れ替え完了。線引きの表を設計に入れ、10年で1/10へ(2期目)
1/5
任期中に、対象にした手続きの処理時間を1/5に。いまは誰も測っていないので、2027年度末に実測の基準値を先に公表する
7区
書かない窓口を全区へ(2028年度)。いまは区役所への導入を示す公表情報がない
3つの数字
手続きに使う時間・窓口と電話の待ち時間・一回で終わった率を毎年公表。導入した数とオンライン利用率は目標にしない
4年で約15〜30億円
職員用アプリ・市民アプリ・書かない窓口・電話・SNS・数える仕組み(見積もり)。市の情報システム関連予算(年約122億円)の3〜6%。財源は国の地域未来交付金と既存予算の組み替え
止めて直す条件を先に決めておきます。AIの答えが業務ごとの正答率の基準に届かない/待ち時間や一回で終わった率が導入前より悪くなる/個人情報の事故が1件でも起きる/年度の削減時間が計画の半分に届かない。どれかに当たったら、広げずに止めて直します。職員数の総数に目標は置きません。
唯一の経済成長への道
AIを活用して給料を上げた市内の中小企業を、結果を確かめてから応援する。市役所が先にAIで省人化して見せ、同じことをした会社を後から応援する。
人の数で伸びる時代は、終わりかけています。人口が増えなくなれば、人の数で大きくなる成長は止まります。残る道は一つ、働く人1人あたりの稼ぎを増やすことです。福岡市は市税が10年で47%増えましたが、同じ40代で比べても、福岡で働く人の給料は、今の物価で1991年より約1割低いままです(福岡県のフルタイム、641万円→541万円)。増えた働き手の約3分の2は医療・福祉と派遣などの事業サービスで、半数以上が年収300万円未満です(8つの課題の、根っこ)。
給付で配り直すだけでは、足りません。福祉の給付(扶助費)は年3,011億円ありますが、その多くは国の制度で、市が自分のお金で出しているのは1,128億円です(2024年度決算)。市が新しく上乗せする給付は、国のお金ではなく、市が自由に使えるお金(年1,156億円)から出します。仮に、世帯年収が真ん中より下の約44万世帯に年50万円ずつ配ると2,200億円。自由に使えるお金の約2倍で、桁が合いません(試算。10月6日の会見で示した数字と同じです)。出典:福岡市 地方財政状況資料集(令和6年度決算)。自由に使えるお金=充当一般財源等5,816億円−経常経費充当一般財源等4,661億円。
令和6年度 福岡市 決算のお金の流れ(押すと拡大)。出典:総務省「市町村決算カード」「地方財政状況調査」。図の右下の「自由に使えたお金1,274億円」は、実際に工事と積立に使った額を足した数え方で、本文の「自由に使えるお金1,156億円」(決算統計の一般財源から毎年必ず出ていく分を引いた額)とは数え方が違います。
1
正社員の給料を上げて1年続けたら、1人6万円基本給を月1万円以上上げ、1年続けた正社員1人につき6万円を、会社に払う。1年目の昇給(年12万円以上)の半分。2年目からは会社が続ける。AIの導入など、やり方は問わない
2
非正規から正社員にしても、同じパート・アルバイトなどを正社員にした会社にも、同じく1人6万円。給料がいちばん低い人たちを、正社員への道でつなぐ
3
時給は、最低賃金が上げる非正規の時給は、最低賃金が毎年押し上げている(福岡県は今年57円上がり1,114円)。市がお金を出すのは、誰も押し上げていない正社員の給料と、正社員になること
払うのは、数えて確かめた後です(政策③)。毎年、応援した会社の数、給料を上げた人数、1年続いた人数を公表します。1社あたりの上限を設け、大きな会社に偏らないようにします。費用は、年1万人で年約6億円、4年で約24億円です(試算)。財源は、他の自治体と同じく国の重点支援地方交付金を使う前提です。同じ形(賃上げを1年続けることが条件・1人6万円)は、岩手県が時給の賃上げで実施しています。
出典:厚生労働省「業務改善助成金」/北九州市・大阪府・福井県・長野県の制度/岩手県「物価高騰対策賃上げ支援金」。所得と働き手の数字は、福岡市の市民税課税状況、経済センサス-活動調査2021、就業構造基本調査2022。
この政策の背景
いまの市役所の数字職員18,916人・人件費1,654億円・手続き1,020万件・基幹システムは昭和41年生まれ
AI駆動型行政で、定型事務を10年で1/10に。浮いた時間は、対話と現場へ。
18,916人
市の職員数(令和7年4月1日)。5年の増加+2,244人(+13.5%)の76%は教育——特別支援学級の子どもが1.9倍になり、先生を増やしてきた
1,654億円/年
人件費(令和7年度予算)。市の仕事の最大コスト
1,020万件/年
行政手続きの処理件数。92%は「オンラインでできる」のに、実際に使われたのは約半分
昭和41年生まれ
基幹システム(住民票・税など)はホストコンピューター系のまま。入れ替え完了は2030〜32年ごろ
約122億円/年
情報システム関連予算(令和8年度・総務企画局分)。4年で1.65倍(令和4年度73.5億円)。各局・学校・公営企業のシステムは別
約23億円
市のアプリ・LINE・市民向けWeb 20件の予算を足した額(令和4〜8年度)。1本あたりは年数百万〜数千万円。大きいのはアプリより基幹と運用保守
「できる」と「楽になった」は、別の話創造的な仕事 1日45分 → 7時間(10年で約10倍・試算)
オンラインの入口は、もうできています。それでも電話の一次応対は人手のまま、画面の使いやすさはばらつき(犬の登録86%・原付23.6%)、窓口に来るしかない人の手間も残ったまま。足りないのは人ではなく、時間の返し方。紙・転記・電話・調整という仕事の形が、変わっていないからです。
創造的な仕事 1日45分 → 7時間(10年で・約10倍・試算)
市役所職員の時間の使い方を、ひっくり返す。
※70億円の計算(試算):定型事務 年170万時間(手続き1,020万件×1件10分と置いた値。職員約900人分)のうち、1/10にして減る9割 ÷ 職員1人の年間労働 ≒ 810人分 × 平均人件費874万円(1,654億円÷18,916人)≒ 年約71億円。根拠は下の出典へ
全体の流れ:両側から、対話へAIは、人と人のあいだから雑務をどかす道具
AIは、人と人のあいだに入る道具ではなく、あいだから雑務をどかす道具です。
たとえば:給付のお知らせは、封書から「受け取る」ボタンへ。ひとり親家庭には、給付のたびに封書が届き、書類の手続きが始まります。制度は国でも支給の事務は市。だから市で変えられます。公金受取口座とプッシュ型給付の仕組みで「お知らせが届き、辞退しなければ振り込まれる」方式は実施済みの自治体が既にあります。福岡市では、既存のLINE公式アカウントの機能として実装できます。封書は口座未登録の方への並走手段に残します。
ぜんぶ、もう起きたことです日本の自治体で実測された数字だけ(さいたま市・つくば市・横浜市・北見市)
この計画に発明はありません。日本の自治体で実測された数字だけを積んでいます。
延べ1,500時間 → 数秒。
保育所入所の割当計算、約8,000人分(さいたま市・実測)。確定と通知は、人が行います。
保育所の選考計算、もう1例東京都港区500時間 → 5分
市民税の定型事務つくば市・RPAとAI-OCR。「機械に写す」だけでこの規模作業時間 79〜83%減
役所の内部事務 83業務豊中市年1万900時間 削減
ごみ分別の問い合わせ横浜市・チャットボット。3割は夜間=閉庁時間の需要を機械が吸収年216万件に応答
転入の窓口手続き北見市・書かない窓口6分 → 3分半
出典は数字の出典へ。福岡がやるのは、この実測済みの部品を1,020万件の手続きに組み上げることです。
市役所に、50人のエンジニアをシステム予算を8年で半分に(121.6億円 → 約60億円)
市の情報システム関連予算は、4年で1.65倍の年121.6億円になりました(令和8年度・総務企画局分)。一方で、ソフトをつくる費用はAIで大きく下がっています。外注の値段は、まだ下がっていません。そこで、小さな改修と市民向けのアプリ・Webは、市役所の中で直します。そのために市役所に50人のエンジニアチームをつくり、8年でシステム関連予算を半分(約60億円)にすることを目標にします。
運用・保守小さな改修・アプリ・Webを自前で直す。外注は基幹と専門的なものだけ54.9億円 → 約25億円
全庁OAライセンスは使う人の分だけ。道具は自分たちで選ぶ31.1億円 → 約20億円
DX推進(刷新以外)作る前に数える(政策③)約15.6億円 → 約10億円
システム刷新(基幹)2030〜32年の入れ替え完了で終わる費用。削減の成果には数えません19.9億円 → 0
エンジニアチーム 50人1人あたり年1,000万円で計算+約5億円
合計121.6億円 → 約60億円
つくったものは、全国の自治体に配ります。福岡市のLINE公式アカウントの機能は、LINE Fukuokaが開発し、ソースコードを全国の自治体に無償で公開しています。市役所が自分でつくったものも、同じように公開します。
地元のIT企業への発注は、なくすのではなく形を変えます。丸ごと任せる発注から、得意な部品を頼む発注へ。福岡のエンジニアが市役所で働ける場にもします。
※「半分」は目標です。実額を毎年公表し、届かなければ数字ごと直します。上の「事務コスト1/10(毎年70億円分・試算)」は職員の時間の話で、このシステム予算とは足し算しません。予算額は福岡市「当初 一般会計及び特別会計予算案説明書」総務企画局所管(数字の出典)。
だいじょうぶなのか(正直な課題)AIはまちがえる/個人情報/置いていかれる人/職員の仕事/どこまで自動化するか
① AIは、まちがえる。NY市のチャットボットは違法助言で廃止方針に。横須賀市も「6%が不適切な回答を経験」と公表。答えの最終責任は人が持ち、香川県三豊市の「正答率94%で導入をやめた」判断を見習う。基準に届かなければ、出さない。
② 個人情報。入力データを学習させない構成と、国・東京都型のガイドラインを導入の前提にします。
③ 置いていかれる人が出ないか。デンマークは電子化の義務と同時に「免除の権利」と対面窓口を法律で保障しました。福岡も同じにします。窓口は減らしません。機械に任せて浮いた人手で、対面はむしろ手厚く。「人のぬくもりが必要な分野へ」は市の戦略の言葉です。実行します。
④ 職員の仕事はなくなるのか。正直に言います。福岡もやがて人口減少に入ります。市役所の人数も、減り方に合わせて呼吸できる体制にしておくべきです。幸い役所には毎年の定年退職と採用があり、誰も解雇せずに人数をゆっくり変えられます。AIで仕事の中身(転記・照合・たらい回し)を先に減らしておけば、人が減っても現場は回り、教育や福祉など人にしかできない仕事へ人を集められる。雇用を切る話ではなく、人口カーブに合わせて呼吸できる市役所にする話です。
⑤ どこまで自動化していいのか。行政法の整理では、裁量ある処分は最終段階で人の関与が必要。だから線引きを先に固定します。定型は完全自動、裁量は人が最終確定。線引きは4段階(A 完全自動/B 機械が処理して人が確定/C 人が主役でAIが支える/D 人にしかできない)で、手続きごとの表は最初の100日で公開します。あいまいなまま自動化を広げることはしません。
数字の約束:数えるのは、導入数ではありません手続きに使う時間・待ち時間・一回で終わった率を毎年公表
測る1
手続きに使う時間市民が申請に費やす時間。いまは測られていません
測る2
窓口と電話の待ち時間リアルタイム表示はあるのに、実績は記録も公表もなし
測る3
一回で終わった率書き直し・出し直し・「もう一度来てください」がなかった割合
この3つを測り、毎年公表します。オンライン利用率(55%)は目標にしません。窓口を閉じれば上がる、操作できる数字だから。使いにくい手続きを探すレーダーとしてだけ使います。
この計画自体も、政策③「つくる前に、数える」の関所に通します。効果は実感アンケートでなく、時間と件数の実測で毎年報告します。
注記と出典