見える化 第1号|市の公開データから作成(2026年9月5日)
エネルギー自給率
100%へ
約1,900施設+地下鉄
学校・水処理場・市場・区役所・市営住宅など、市の建物ぜんぶ
約3.5億kWh/年
使う電気の合計(地下鉄は推計含む)
約70億円/年
電気代の合計(地下鉄9.4億円は決算実績、ほかは22円/kWh想定の推定。単価次第で64〜86億円)
62%
市の看板「太陽光の設置率」(2040年に100%目標)。太陽光を置いた施設の頭数
実は、数え方がまちがっています
設置率は施設の頭数。パネル1枚でも「設置済み」になる、やってる感の数字。実際に太陽光でまかなえている電力量は0.3%、自分でつくって自分で使っている電気(自給率)は推定1%未満です。一方で、市が敷地で発電している量は消費の約4割。作る力は、もう40%ある。自給率は、1%。使えていないだけ。売る契約になっているからです。
自給率 1% → 100%(10年で)
そして9年目からは、黒字。
グラウンドの屋根は、45度級の校庭の日陰と雨の遊び場にもなります。数えるのは電気代(円)と自給率(%)。どちらも推移すら公表されていないので、まず並べて見せます。
大口ランキング
棒=年間電力量(金額は22円/kWh推定)。「再エネ調達○」は再エネの電気を買う契約のことで、自前の発電ではありません。
局別で見る
上位3つ(学校・下水処理・水道)で、全体の3分の2。
この数字から分かること
① いちばん使っているのは、学校でした。1校ずつは小さくても、束ねると市最大。「学校の屋根とグラウンドで発電する」は、防災だけでなく光熱費の政策になります。
② 単体の大口は、24時間止まらない水インフラ。処理槽の上の広い空間は太陽光の適地です。神戸市は処理場に1,955kWを設置済み、環境省も2025年に「上下水道へ最大限の太陽光」を国策にしました。
③ 市場が、まるごと空白地帯。大口なのに、再エネの指定すら「なし」(ランキングのオレンジ表示)。冷蔵の電力と巨大な屋根で、相性は抜群のはずです。
やること、五つ(+その0)
新しい発明はゼロ。市自身と他都市で動いているものの組み合わせです。
その0
まず、使う量を減らす
曝気=送風の仕事だけで、処理場の電気の3〜6割(国交省の実測)。センサーとAIによる最適化と高効率機への更新で約2割減らせます(国の調査:運転改善6.6%+機器20.7%)。自給率150%のデンマークの処理場も、先に消費をほぼ半分に削りました。
分母(使う量)を減らせば、100%は早く・安くなる
その1
売っている電気を、自分で使うごみ発電と下水ガスの売電を、契約の組み替えで市の建物へ投資ほぼゼロ → 年7億円
その2
昼の電気は、屋根でつくる九州は昼の電気を捨てている土地(出力制御が全国最多)。学校・水処理場・市場の屋根と敷地に太陽光330億円(補助で170億円)→ 年38億円・回収9年
その3
夜の電気は、下水のガスでつくる汚泥のガスは24時間出る。消化槽は4処理場に既設。横浜・大阪並み(今の2倍)へ。曝気(処理場電力の3〜6割)の省エネで、使う量そのものも減らす水処理電力の2〜3割を夜も自前に
その4
蓄電池は、買わずに呼ぶ市場で稼ぐ民間の電池を水処理場の敷地に誘致。市は賃料と災害時給電の約束を得る。学校の防災用だけ国の補助で市の投資ゼロ(負担ゼロ協定は高山・羽島・唐津に実例)
その5
それでも買う電気は、買い方を変える昼に安い市場価格を部分導入+高騰時の上限ヘッジ投資ゼロの上乗せ
よくある疑問に、先に答えます
Q. グラウンドがパネルで埋まって、野球ができなくなるのでは?なりません。自給に必要なパネルは約1,600㎡=敷地の1割弱で、置き場は原則ぜんぶ屋根の上。足りない学校だけフェンス沿いの帯(グラウンドの約4%)やカーポート型で補い、フィールドには一切かかりません。帯とカーポートの下は、夏の日陰になります。
Q. プールはどうするんですか?
拠点に集める。学校数の多い政令市では民間委託の受け皿が足りず、全校の屋内化は高すぎる。各区に1つずつある市民プールを、屋根の太陽光と空調で通年化。平日昼は授業、週末は地域開放、災害時は生活用水と涼しい避難先に。年数十コマの露天プール214か所を維持するより、「埋まっている率」で数えるとこちらが安い。
現役のプールには、屋根。日陰で暑さ指数が下がり、猛暑で中止が増えた水泳授業そのものを守れます。
役目を終えたプールは、埋めない。水面の太陽光は市が自前で載せ、同じ敷地の校舎で使い切る(1基40kW級・年70〜100万円分。鹿児島県南さつま市で2021年から稼働例)。いけすが欲しい事業者には養殖用に貸す(チョウザメは高水温に弱く、パネルの日陰と好相性)。
基準はひとつ。自分で使い切れる電気は自前でつくり、ノウハウの要る商売は場所を貸して呼ぶ。防災用の水は、どちらの道でも残ります。
Q. パネルは30年後、ごみの山にならない?なりません。リサイクル義務化の法律が国会で審議中(2027年末施行見込み)。隣の北九州に年9万枚を99%資源に戻す工場がすでに動いています。福岡の分の廃棄が来る2050年代には、全国の廃棄ピーク(2030年代後半)を経て処理産業が育ちきった後。廃棄の費用は、最初から収支に入れてあります。
Q. 市が電気を買わなくなると、ほかの人の電気代が上がるのでは?市が減らすのは、九州が出力制御で捨てている昼の電気の買い物。量にして九州全体の需要の0.4%。同じ理屈なら企業の省エネも「悪者」になってしまいます。
Q. そもそも、なぜ今まで売っていたの?昔は売るのが正解でした。固定価格買取(FIT)は高く売れ、自分の電気を離れた建物へ送る制度も実務的にありませんでした。買う電気の値段と国の制度という前提が変わったのに、契約と組織が古い前提の側に残っている。直すのは契約の組み替えです。誰かの失敗の話ではありません。
Q. 夜や悪天候の日はどうするの?下水のガス(24時間出る)でつくり、足りない分は買います。夜の電気は安く足りているので、無理に自前でためこみません。夜のぶんまで蓄電池でためると数百億円かかって元が取れない。儲け話と命綱(避難所の防災用電池)は、分けて数えます。
数字の約束
前提も感度(回収9年、条件次第で12年)も公開し、政策③の関所に最初に通します。自分の政策だけ、検証を免除しない。
注記と出典
- エルム・旧津貫小学校プール水上太陽光(2021年稼働・全国初):エルム発表・日経
- 水上太陽光の実勢(兵庫・穴沢池960kW 約2.62億円=約27万円/kW):日経BP
- データ:福岡市「令和8年 電力供給契約」入札対象施設一覧(財政局)のExcel3ファイル(WTO対象20施設・単独126施設・一括調達約1,750施設)を集計。契約期間は約1年(令和8年6月〜令和9年5月)=年間値として扱っています。
- 電気代は使用量×22円/kWhの推定(燃調・再エネ賦課金込みの高圧実勢の中心値)。実際の支払額は契約単価により異なります。
- 地下鉄は別契約のため一覧に含まれません。動力費9.4億円は交通局・令和6年度決算説明資料の実績です。
- 清掃工場の発電量:福岡市・清掃工場の発電量(R4〜R6)(R6:発電2.30億kWh・売電1.37億kWh)。
- 設置率62%・2040年100%目標:福岡市脱炭素戦略2040(原案)。
- 下水ガス発電(中部1,999kW・年1,163万kWh=FIT売電、和白200kW・発電機を2024年12月に倍増):福岡市下水道事業年報(令和7年版)・下水汚泥等の有効利用。横浜・大阪の消化ガス発電規模は各市公表資料。
- 太陽光の投資・回収の前提:経産省コスト検証WG実績(18万円/kW・1,150kWh/kW・買電22円/kWh等)。学校1校の詳細試算は政策サイト内のグラフ参照。
- 間違いを見つけたら教えてください。直して、政策サイトの「更新の記録」に残します。